『三原古道水山峠』その半世紀ぶりの扉を開く 4/16
先日その存在を知ることになった『三原古道』は、とあるハイカーさんのブログによれば縄文時代からの道との記述がありました。
その根拠は示されていなかったので真偽のほどはともかくとして、相当歴史ある道であることは確かなようです。
かつては神鍋高原の中心である東河内と山奥の集落である三原地区を結ぶ生活道路としての県道だったそうですが、それが1970年に東河内に神鍋高原カントリークラブ(ゴルフ場)が開設され、南側が塞がれる形になり廃道となったのでしょう。
多分その頃には迂回する現在の県道ができていたのではと思います。。
それから今に至るまで、おそらくはごく一部のハイカーさんや郷土歴史家などが知るのみの忘れられた道。
果たして半世紀ぶりに僕らが閉ざされた扉を開き、スポットライトを照らすことはできるのか?
そんな大物ターゲットを攻略するためには僕らのメンバーだけでは惜しく、また力を借りる意味でも強力なゲストメンバー達にジョイントを呼びかけました。
攻略プランはこんな具合です。
大本命の三原古道は三原集落④から水山峠を越えて神鍋高原C.Cに向かうのですが、ゴルフ場側からは脱出不可能の様子なので、まずは①の床瀬峠から西北に向かい、水山峠を越えて②の巻き道から三原・水口林道支線へ抜けて、そこから三原・水口本線③へ。
そしてあらためて三原の④から本命の踏破を目指すものです。
上手くいけば、脱出ルートは②を再度使いたいと思っていましたが、あくまで①と②はハイカーさんが辿ったルートの様子を参考にしたものなので、バイクで走れるものなのかどうかは全く未知数です。
さてその運命の鍵を握る?構成メンバーは、レギュラーメンバー6人に加えて、普段はラリーを主体に走るT橋さん、S川さん、そしてK川さんで、いずれもマシンはバリバリのエンデューロレーサーです!
トランポを停めた場所からはほんの10分くらい、床瀬峠の途中にその入り口があります。
これまでにも何度となくその前を通過していましたが、まるで見落としていました。
入り口から中を覗くと、雰囲気の良いシングルトラックが伸びています。
ハイカーさんのブログにもあったプチ藪漕ぎとは、このことだったのでしょうか?
それを過ぎるとプチ渡渉が待っていました。
トップバッターはハスク乗りのK川さん。
今回は僕も初対面の方でしたが、嬉しいことに同じように廃道古道がお好きで、拙ブログを楽しみにしてくださっているとのこと、アリガトウゴザイマス。
2番手はキリマンジェロにも登山で行ったことがあるS川さん。
先日はアフリカのバイク砂漠ツアーにも参加されていました。
体力的にはピカイチのようであり、ライディングテクニックもかなりの腕前。
3番手は昨冬に何度もスノーシューで一緒に遊んだT橋さん。
最近KTM150TPIを手に入れられて、廃道古道探索にも目覚めましたか?
この日は前日までの雨がたっぷりと地表に降り注ぎ、厚く積もった落ち葉は腐葉土状となり、その下の土は赤土質で最悪のコンディションだと知ったのは、その先の登りでした。
普段ならばスイスイと登っても不思議ではない斜度なのですが、長い助走かヘルプ無しでは話にもなりません。
それでもどうにか全員通過すると、そこに広がっていたのは美しいブナの森。
まだ小さく僅かながら新緑の葉を広げつつあります。
しかし肝心のルートはここから先が読めません。
手分けをしていろいろなルートを探してみますが・・
まあとにかく路面は滑りまくり、急な斜面では2本脚で立つことすらできません!
流石にゲストメンバーはなんとか斜面をクリアしていましたが、僕は失敗して泥まみれになりながら、転けた時にマグネットのキルスイッチが手元から外れて探すのにひと苦労。
もう諦めかけた時にRYOTAくんが見つけてくれました。
結局この最初の区間はかなり呆気なく攻略失敗!
作業道レベルのものが、どこかで三原古道に繋がっているいることを期待していましたが残念です。
でもいきなり出鼻を挫かれましたが、それもこれも想定内のこと。
床瀬峠から反時計回りで三原集落に行き、本命筋の④から真っ向勝負です。
ここは前回ソロで来た時には入り口を確認しただけ。
入るとすぐに倒竹倒木ガレが来るものを拒んでいます。
道幅が削られたところを抜けると・・
太く硬い倒木が道を塞いでいましたが、ここで新兵器が登場!
S川さんがコードレス電動チェーンソーを取り出して、手で切るよりも圧倒的な速さで処理。
それにこれだけのレベルのメンバーが揃えば、今までのレギュラーだけでは成し得ないスムーズさで前へと進んでいきます。
道は1kmも進まないうちに幅員が狭まってきました。
参考にしたブログでは立派な橋の画像もありましたが、まだそれが現れる前に渡渉があります。
そしてその先は・・・
徒歩で偵察したK川さんの話では、もう荒れ果てた状態で進むのはほぼ不可能とのこと。
う〜ん無念!
難しいことは分かったいましたが、もはやこの地点で諦めなければならないとは・・。
ただそんな場所には、とても神秘的な大カツラがひっそりと佇んでいました。
いったいどれだけ昔から、どれだけの人々の行き来を見守っていたのでしょう。
その人の姿を見ることが無くなってからの時間など、この樹にとってはほんの一瞬のことかもしれません。
実は今回の探索で、一番心に残ったのはこの大樹でした。
この樹がもしもっとアクセスの良い場所にあったならば、『三原の大カツラ』としてきっと名所となっていたことでしょう。
また何度でも、この樹に会いに来たいと思わせてくれるようでした。
予定は再び変更になりますが、これもまた想定の範囲内。
フラットの三原・水口林道の本線を走って南下します。
朝のうちにパラっと降った雨でしたが、この頃にはかなり青空が広がってきました。
このまま夕方までなんとか保ってくれたら儲けモノ。
そして神鍋周辺を熟知しているはずのゲストメンバーも初めてという支線に。
僕自身、前回来た時にははっきりと気が付かなかった支線の支線、地図上の『巻き道』が本当にありました。
右の奥へと伸びているのがそれです。
終点まで好きなようにのびのびと走っていたみんなを呼び戻します。
谷間に響き渡る2ストの甲高いエキゾーストサウンドも良いものです♪
さて、最後に残された望みはこれひとつ!
距離的にも短いので、これでなんとか峠まで辿り着き、そこにあるはずのお地蔵様の姿を拝みたい。
地図で確認していた時は等高線と並行に伸びていたはずの巻き道ですが、意外と高低差があり、ここもまた滑りやすくトラクションがかからないので慎重に駒を進めなければなりません。
しかしここもまた峠にあと50mというところで難関がありギブアップ。
路面コンディションさえ良ければ・・といった悔いが残ります。
最後は歩いて峠まで到着すると、お地蔵様は斜面に倒れていました。
こちらは南のゴルフ場側。
見える範囲では比較的穏やかで、降って行くことも可能に見えます。
こちらは北側は撤退したその先になる訳ですが、かなりの急斜面で、もしバイクでこの手前まで来られたとしても相当苦労するレベルです。
結論としては三原古道自体を南北にバイクで抜けるのはまず不可能。
三原・水原林道本線〜支線〜巻き道〜三原古道〜ゴルフ場というのが唯一残されたルートですが、それにはもちろんゴルフ場内を横断せずに迂回できるルートの発見が不可欠。
また機会をみて諦めずに探ってみようと思います。
なぜなら、そこにあるはずのある遺構を見つけられるかもしれないのです・・。
バッドコンディションだったからとは言い訳にしたくありません。
このところ神がかったような実績を挙げていた探索ですが、こんな日もあるというもの。
いえむしろ探索はしっかりとした成果が出ること自体、この林道天国但馬エリアでも珍しく貴重なものなのです。
その後は舗装林道三川線を走り三峰から小城越えに挑もうとしますが、3時を過ぎた頃に雷が落ち雨が降り出したので途中で終了としました。
参考までに、三川山から万場出入り口方面の残雪は無く、例年のように何箇所か崩落があるだけで、オフロードバイクならば問題無く通れます。
ただおそらく蘇武岳山頂付近ではまだ雪が残り、金山口方面に抜けられることはできないのではないかと思います。
というわけで今回はきっちりと成果は出なくても、いろんな内容が溢れんばかりの1日でした。
いろいろと刺激を受け、いつもとはひと味もふた味も違う有意義な時間は、きっとまたこれからに繋がってくると思っています。
今回ご参加いただいたゲストメンバーの皆さん、本当にありがとうございました。
またご都合が悪く来られなかった方々も、また宜しければ一緒に楽しみましょう🎵
オフロードバイクでの古道・廃道探索は本当に楽しいです!!