保存版⭐️氷ノ山林道パーフェクトガイド2021 5/15 但馬
今回は関西で最長、オフロードに興味のある方ならば一度は耳にしたことがあると言っても過言ではない、メッカ(聖地)氷ノ山林道を詳しく解説します。
正式名称は『瀞川・氷ノ山林道』(とろかわ・ひょうのせん)で全長はトータル45.4km。
(正確に測ったことはありませんが、感覚的には1/4ほど舗装化が進んでいます)
実際には北東から南西にかけて伸びていますが、便宜上ここは南北とし、大きく分けると二つの区間で成り立っています。
今まで拙ブログでは部分的にしか紹介してきませんでしたが、これからオフロードを始めてみようかとか、自転車(特にMTB、グラベルロード)や四駆にお乗りの方にも参考になれば幸いです。
ただひとつ注意していただくことは、林道は日々変化するということです。
特に台風通過後や春のシーズン明け(5月上旬)は倒木、崩落などで通れないことや、伐採作業で制限されることも少なくはありません。
実際に行かれる場合には何らかの手段で最新情報の収集と確認をされることをお勧めします。
それでは行ってみましょう!
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そもそもこのエリアは阪神間からだとアプローチの片道120〜150km程度になりますが、北近畿豊岡道が開通したおかげですっかりと楽になりました。(しかもトンネルを除き無料!)
この日も定番である、道の駅ようか但馬蔵にトランポを停めてから、9号線を鳥取に向けて北上してこの場所からスタートします。
あるいは手前の道の駅ハチ北の先の「兎和野高原口交差点」を左折して、県道89号線で登ってくるのも良しです。(僕はこちらの方が好きです)
トータルで距離があるので、ここに入る前にガソリンを満タンにしておくことを忘れずに!
最初の6kmほどの区間は舗装林道です。
『走行速度は20km/hを心がける』、制限速度ではないのですよね。
フジの花が散り始めて、パープルカーペットが敷かれていました。
前述した89号線のT字路に突き当たり左折し、すぐに右折です。
兎和野高原から来ると前方から手前方向に進んできます。
右折するとすぐに右側に入り口があります。
さあ、ここからが実質的なスタートです!
最初はゆるゆる登り、2kmほどでログキャビンのあるヘアピンの先には・・
どどーんと但馬の雄大な景色が広がっています。
ここがこの林道で絶景ベストスリーのひとつ『はちまき展望台』です。
土日の天気の良い日にここで昼前後を過ごせば、他のオフローダーに会う確率は非常に高いですよ。
そこからは一部舗装路もところどころに現れますが・・・
ダート区間は幅員も広く、基本スーパーフラットなのでビギナーでも安心です。
ただし対向車には要注意!
展望台から2kmほどで、この林道を象徴するストレートの登場です!
公式ガイドには1.2kmとなっていますが、本州では非常に珍しいロングストレートはほぼ2kmにわたって伸びています。
物理的には250クラスでも三桁のスピードが出せますが、登山者への迷惑や、動物の飛び出しもあるのでほどほどに楽しみましょう。
林間部を抜けると左手には雄大な景色が広がり始めます。
走りやすいからといってガンガン飛ばすだけでなく、トコトコのんびり走って景色を楽しむのも絶対にアリで、決して恥ずかしいことでもありません。
ルート起点(この場合は村岡の起点ではなく、89号線とクロスしてダート区間に入るポイントのことだと思います)から9km弱にあるこの案内板。
そのすぐ先のガードレールの向こう側に、支線・野間林道の入り口があります。
ここは小代方面、とちのき村や最近オープンした話題の『おじろじろキャンプ場』に続く道です。
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200mほど緩やかに下ると・・
廃業したスキー場リフトの最高地点にある絶景場所、通称『イヌワシポイント』があります。
天然記念物、絶滅危惧種のイヌワシが見られるこの場所は多くのアマチュアカメラマンで賑わうのですが、最近ここでは見られなくなったのか空いています。
この野間峠はごく普通のショート林道ですが、気を付けなければいけないことがひとつ。
それは一部舗装区間にいつも水が出ていて、路面にコケが付いていて非常に滑りやすいことです。
八反の滝の付近に崩落注意のサインがありますが全く問題ありません。
この日は全線を走らずに、イヌワシポイントから本線に引き返します。
本線に戻るとすぐに頭上をリフトのケーブルが伸びています。
冬季はここもスキー場の一部になり、初雪の時に運よく走れると、オフロードバイクの頭上をリフトに乗ったスキーヤーが通過するという珍しい画ヅラになるわけです。
このスキー場は人気の「ハチ北」。
以前まではバイクで入り、鉢伏山の山頂まで登ることが黙認されていましたが、昨年から禁止となってしまいました。
残念ですが、こうなってしまった以上は絶対に入ることは許されません。
その向かい側にはまた絶景が広がります。
ここは第2の絶景撮影ポイントです。
さらにまた2kmほどで広い右コーナーがあり、左手にバイオトイレがあります。
これは相当古い案内板なのでしょう。
文字もかすれていてよく分かりません。
その先はやや急な舗装路の下りとなって、「ハチ高原スキー場」に出ます。
ここは古くからの関西ウインタースポーツの中心地で、今も人気の高い場所です。
冬以外では林間学校や合宿で賑わい、昨年からはキャンパーも大幅に増えました。
小学生の団体とすれ違ったら徐行は当たり前ですが、是非とも手を振ってみてください。
幼い子供たちにとって、どうもオフローダーの出立ちは琴線に触れるものがあるようです。
ただここのゲレンデもバイクは入れません。
そのまま進むと「青い鳥」というロッジに突き当たり右折します。
パーキングスペースやビジターセンターのようなものがあり。
すぐ先のこの矢印に沿って左折します。
地図ではこのようになります。
ここでほぼ全ルートの半分に当たる北区間が終了です。
ここから少し別枠のお話で・・
この正規?のルートとは別に、この辺りはいろいろとありまして。
とまあ、こんな感じの場所もあるので、お好きな方は探してみてください。
ただしウエットの場合はチュルチュルだったり、激坂だったりするのでご自分のウデと相談の上でどうぞ。
またこれらの場所はにはあくまで『侵入禁止』の札はありませんが、状況次第では控えることも大切だと思います。
僕自身ビギナーの頃に先人達の動画を参考にして調べていたのですが、どうしてもこのエリアのことが混乱して良く分かりませんでした。
しかしこれを除いて、あくまで正規ルートで走れば間違えることもありません。
本筋に戻ります。
「大久保」の宿泊施設街を抜けると・・
すぐに鋭角で右折する交差点に注意‼️!
曲がりきった内側に標柱があるので分かりにくいです。
僕も最初はこれを見逃して、全体の半分しか走っていなかったということがあります。
さあ、そしてここからが南区間の始まりです!
この日はたまたま山開きが行われていました。
地図ではここです。
もしも自転車で走ることをお考えの方がおられるのならば、またそれがグループでならではのお話ですが、ひとつのやり方として・・
複数の車に分乗してここ(出口)に車を一台置いておく→別の車に乗り換えて(自転車も積んで)もう一方の入口まで行き、車はそこに置いて全員自転車で走り出す→最初に置いた車まで走る→自転車を積み、入り口まで全員同乗して戻り、もう一台の車を回収する。
(カヤックが得意のまこっちゃんから教わったノウハウです)
本題に戻ります。
そのまま渓流沿いに進むと福定親水公園があります。
ここは登山客の駐車場としていつも賑わっています。
これも遵守しましょう。
その先には「逆水」の氷ノ山国際スキー場です。
このゲレンデも登れたらさぞかし・・と思うのですが、やはり侵入は禁止されていますよ。
スキー場にある、こうした重機はカッコイイですね!
それもそのはず、ほとんどがイタリア製なんですよね。
さらにその先にもまた登山口。
この辺りまでしばらく舗装路が続きましたが、ようやくまたダートになります。
路面状況はスーパーフラット!
贅沢なことに最初は喜んでいましたが、だんだん慣れてくると物足りなくなったりすることもあるのです。
『美人は三日で飽きる』理論でしょうか?
左に分岐があり、「鵜縄」(うなわ)という集落に下って行きます。
その道は全面舗装です。
本線はところどころ舗装の区間もありながら緑のトンネルを抜けて・・
左側に景色の良い場所があり、それを過ぎたところに轟安井林道があります。
この瀞川・氷ノ山林道にはいくつかの支線がありますが、ごく一部の作業道を除いてこの轟安井と野間だけがダートです。
左折すると「轟」地区に下るミドルレンジの人気林道ですが、四駆でも改造ジムニークラスでないと完抜けはできません。
この日は一旦本線を走りきってから戻り、この林道を実際に走っていますが、それはまた別の記事にする予定です。
こちらです↓ クリックしてね
本線を進みます。
この辺りは近年に舗装化が進んでしまった区間です。
そして次のハイライトは三つ目の絶景ポイント「大段ヶ平」(おおだんがなる)
ここも欠かせない大好きな場所です!(記事冒頭の画像もこの場所です)
やはりこの日、後から訪れる杉ヶ沢高原も遠くに見えます。
ここもハイカーさんには人気の高い場所です。
車で上がってくる場合はたぶん鵜縄から来られことが多いのでしょう。
万が一、転倒して怪我をしても優秀なレスキューと医療機関があり安心です。
もちろんお世話にならないことがベターですが。
トイレはたくさんある登山口毎に用意されているので、女性ライダーにとっても安心ですね。
ここからだと氷ノ山山頂まで2.8kmと、一番距離的には短いようです。
舗装路多めで進むと分岐があり、その道を下るととても美しい横行渓谷があります。
途中には悲しい平家落人伝説もあり、興味ある方は一度ぜひ。
この画像では左前方から来てUターンする形に曲がるとその渓谷沿いです。
本線は直進です。
その先、ダート&舗装路が交互に現れます。
その先、ここがこの林道の最高地点1250mです。
景色は良いのですが見える範囲が少ないのが残念です。
ここともう1箇所雪が残っていましたが、走行には全く問題ありません。
このエリアは高い山の共通した現象ですが、雲がかかりやすくにわか雨が頻発します。
この日は山菜採りの人が多く、軽トラや四駆から普通車まで、本当にたくさんすれ違いました。
そうした車のドライバーは山道に慣れていなかったり、よそ見をしていることも多いので要注意です。
ブラインドコーナーの対向イン側を走ることは自殺行為に等しくなるので、絶対に避けるべきです。
中にはこんなアメリカンなフルサイズピックアップも!
正面から現れた時には、流石に度肝を抜かれました。
その先、林間のダートが続きます。
ここも人気の撮影スポットです。
グループで走っていると景色の良いところを見過ごしたり、良いなと思ってもペースを乱すので止まれないこともままあるでしょう。
僕はそれが嫌でソロで走ることが多いのですが、グループの時にはあらかじめ断っておき、最後尾を走りながら時々止まって撮影します。
他のメンバーは心得てくれているので、その先の適当な場所で待ってくれています。
さあ、この辺りからどんどん高度を下げて行きます。
南側最後の登山口です。
ここにも清潔なトイレがあります。
この付近は一昨年頃に伐採が行われていたために重機が走り、路面がペターっという感じで踏み固められています。
雰囲気はまさに緑の回廊です。
氷ノ山は湧き水の豊かさでも有名です。
そして遂にクライマックスゾーン。
GOAL!
いわゆる「ヤマメ茶屋」の入り口という呼び方でよく会話をしますが、この南出口にあった施設の名称です。
ただ現在は廃業されていて、崩れかけた家屋が残っています。
もう人もいないのかと思っていたのですが、この綺麗な三菱ジープのオーナーが所有者のようで、この日は何か作業をされていました。
追記:2022年夏に、とうとう看板も降ろされてしまったようです。
そのすぐ先で国道29号線に突き当たります。
左は中国道山崎IC方面、右は戸倉峠を越えて鳥取方面に続いています。
山崎方面から北上して来ると右側にある滝流しそうめんの店のすぐ先です。
北側の起点と比べるとやや地味で分かりにくいかもしれません。
地図上ではここです。
今回はトランポを止める場所の都合上、北から南下しましたが、お勧めするのはこちらから北上するパターンです。
なぜならば、最後になる方にクライマックス感のあるロングストレートや、眺望抜群のはちまき展望台があり、達成感や高揚感が得られるからです。
全線ほぼスマホや携帯の電波も届き、万が一のレスキュー車も入って来られます。
自走で来られる場合も道路環境や設備が整っているエリアです。
(周辺のガソリンスタンドだけは減少しているので、日曜日は特に要注意です)
またトランポ組はハイカー用やスキーヤー用の駐車場も豊富なので、停める場所に苦労はありません。
飲み物は中間のハチ高原スキー場周辺で買えますが、食べ物の販売や飲食店はほとんど無いのでお気をつけください。
今や大人気のハンターカブでも大丈夫!
兵庫県南部からなら、下道自走でも3時間あれば来られますから、家を6時スタートでこの林道をゆっくりと4、5時間かけて休憩しながら走っても夕方には帰宅できます。
まだ走ったことがない方は、車種排気量に関係なく(SSやアメリカンでは区間によって厳しいですが・・)ぜひ一度訪れてみてくださいね!
【あとがき】
ここからは個人的な想いを綴りますので、興味のない方はスルーしてください。
オフロードバイクの世界で、特に林道をメインにするライダーの間では、林道名や場所を明らかにするなどしてSNSなどに載せることをタブーとし、それに抗議(攻撃)することが散見されます。
(僕に対してそのようなことはゼロに等しいくらいですが)
一部の人はそれに嫌気がさしてSNSを止めたり、ひどい場合はバイクを降りたりしています。
しかし僕はそうした閉塞感のある、自分たちさえ良ければという風潮は大嫌いです。
もちろんそうしたくなる理由が分からない訳ではありません。
過去、いくつもの林道が心無いライダーの行動によって封鎖されてしまった例が多いのは事実でしょう。
反面、今回紹介したようなマナーさえ守れば走ることに全く問題のない林道もまだまだたくさん残っていて、ありがたいことに僕の住む兵庫はむしろ増えているくらいです。
私有地を勝手に走るのは犯罪になりますが、国や自治体が管理する道を走るのは納税者としての権利の行使です。
先輩ライダーとしてやらなければならないのは秘密主義や排他主義ではなく、やって良いこと、やらなければならないことをビギナーや他の人ににきちんと伝え広め、楽しさを共有していくことではないでしょうか?
地元の方に挨拶をする、ゴミが落ちていたら拾う、獣害ゲートは必ず閉めるなどはごく当たり前のことです。
僕はこれまで色々な趣味にも手を染めてきましたが、やはりブームが来ると困った輩は一定数必ず出てきます。
しかしそのブームが定着すればそれも自然にある程度淘汰され、好ましい環境と関連商品の充実が進み、良心的なショップも増えます。
現在の自転車業界がまさにそれに近いと思っています。
今、特に国産のトレールバイクや公道走行可能なトライアルバイクの製造は非常に減少、あるいは消滅し選択肢は限られています。
これがもし需要が高まれば、昔のようにとまではいかなくとも、もっともっと豊富な魅力的なバイクが出てきても不思議ではありません。
欲しくなるようなパーツや、好きなウエア類もさらに選ぶ楽しさが増えるでしょう。
『昔は良かった・・』などとしか言えないジジイには、僕は決してなりたくはないのです。