氷ノ山ブルー 10/2
今回は登山です。
日本の二百名山に名を連ねる氷ノ山。
兵庫県と鳥取県の県境に位置し、那岐山や瀞川平とともに「氷ノ山後山那岐山 国定公園」に指定されている自然豊かな山です。
標高は1510m、中国地方では大山(1,712m)に次ぐ高さを誇ります。
「秘境100選」にも選ばれ、天然記念物のイヌワシやツキノワグマ(僕、どちらも見たことあり)、ブナの自然林など多くの動植物を見る事ができます。
天照大神が旭日に映える樹氷を見て、『ヒエの山』と呼んだことが名前の由来であるといわれ、今でも冬季には巨大な樹氷が登山者に人気で、それはモンスターと呼ばれています。
いつもはオフロードバイクに乗って、その周辺の林道を楽しんでいますが、これまで一度もその山頂に立ったことはありませんでした。
しかし下から見上げる度に、いつか機会があれば・・と想い続けていたのですが、ちょうど平日の休みと晴天がマッチしたので、車の荷台を空っぽにして(いつもはバイクが積んである)大段ヶ平(おおだんがなる)という中腹の駐車場に到着。
氷ノ山には兵庫側と鳥取側、合わせてざっと9つのルートがあるのですが、ここからは兵庫県側の最もビギナー向けのルートです。
なにせこの駐車場は瀞川氷ノ山林道の途中にあるのですが、そもそも林道は1000m付近を横断しているので頂上までの高低差は400mほどで、距離も片道2.7km。
関東にお住まいの方ならピンとくるかもしれませんが、あの日本一登山客が多く訪れる高尾山のルートとほとんど変わりません。
もちろん絶対的な標高は違いますし、冬場になれば最大8mを越す積雪もあり、まるで別世界になりますが、この時期ならば小学生でも登れるでしょう。
この画像は大段ヶ平の駐車場からのもので、いつも見慣れた風景ですが、これがどれほど変わるのか楽しみです。
駐車場から林道を挟んで、この登山口がありますが、この先はバイクやスノーモビルは立ち入り禁止となっています。
歩き出すと思わず『うわっ!』と声が出てしまうほど、緩やかで美しい登山道が伸びています。
氷ノ山はブナの木が多いことでも有名です。
下草と呼ぶには背丈の高い、笹の茂みもずっと続きます。
歩き始めてすぐにあるこの標識。
先ほども述べたように、片道は約2.7kmです。
なだらかな、まるでウォーミングアップの区間を過ぎると、やや傾斜が増してこの丸太の木段が現れます。
時折、樹々の間から下界の景色が広がります。
また緩やかな登りが続き、最初に現れる建造物。
真冬はホワイトアウトになって犠牲者も出るくらいですから、こうした避難小屋はいくつあっても良いですね。
その後も、ところどころ小さな難所はありますが、むしろ丹波地域の低山の方がよほど急峻です。
あちらは平野からニョキっと突き出たような小さな山々があり、登り始めからいきなり急勾配になることが多いのです。
それでも正直に言えば僕自身はこの半年ほど山登りはしていなかったので、結構ゼイゼイハアハアしてしまいます。
オフロードバイクは乗ったことの無い方の想像以上に、体力はひどく消耗するものですが、やはり使う筋肉や心肺にかかる負荷も違います。
だから山登りのシーズン初めはかなりキツイのですが、その意味ではちょうど良かったかも。
ふと振り返ると、宍粟方面の山並みが。
左前方に見えるのは東ハチかな?
その先、2つ目の建造物は『神大ヒュッテ』。
神戸大学山岳部が60年以上前に建てたもので、一般の方でも利用できる山小屋だそうです。
ここまで来ればもうあと少し。
絶対許されることではありませんが、もし許可されるのであればバイクで乗ってみたくなるルートです。
ここまでも2、3ヶ所はトライアル中級以上の腕が必要かと思われるものがありましたが、
ヘルプがあればこの僕でもなんとか・・。
4、50年前だったら許されていたのかなあ。
ただ、その先のこの太い角材で組まれた道は、とても滑りやすくて歩きにくい。
もっと横板(棒)があれば良いのですが、多分大勢の人が通ってるうちに無くなってしまったのでしょうね。
頂上が近づくにつれて、背の高い木はほとんど少なくなってきました。
逆水の国際スキー場が眼下に見えています。
ラストスパート区間です。
植林された杉と違って、古代杉は迫力がありますね。
氷ノ山はとても水が豊かな山でもあります。
だからこそ、こんな場所に湿原もあるのでしょうか。
秋の空の代表、うろこ雲やいわし雲とも呼ばれていますが、学術的には拳積雲というそうですね。
こんな雲に映える夕焼けをそろそろ見たいなあ。
さあ頂上直前から360°雄大な風景が広がってきました🎵
こちらは鳥取市内方向かな?
これは若桜方面。
宍粟方面。
ハイカーお馴染みポーズで一枚。
気温は13度ですが、陽射しがあるのでそれほど寒くない。
三脚立てて、セルフシャッターでパシャリ!
iPhoneとApple Watchを組み合わせると文字盤にカメラファインダーの画像が映り、リモコンでシャッターを押せるのでとても便利です。
避難小屋の内部はこんな感じ。
土日の天気が悪い時は、ここが登山者でいっぱいになるそうです。
この日は月曜で、歩き始めたのは9時でしたが山頂は貸切状態!
行き帰り、すれ違った登山者も全部で6人だけでした。
これがもし東京都心から2時間くらいのところにこの山があれば、平日でもすごい数の人が訪れていることでしょうね。
それにしても空の蒼さがスバラシイ🎵
撮影はいつものようにiPhone 14Proです。
僕が但馬で一番好きな場所、小代越から高丸山、鉢伏山に繋がる区間は見晴らし最高の稜線です。
ここからだと今いる場所まで片道約8kmですが、最もハードなもので通称『ぶん回し』と呼ばれる周回ルートは約15kmで周囲の山々をいくつか含みます。
これだと何ヶ所かの鎖場(補助のためのチェーンが張ってある難所)もあるそうですが、いつかはきっと踏破してみたい。
秋らしく、いろんな形状の雲が浮かんでいますね。
氷ノ山ブルーと中国山地の山並み、たっぷりと心に焼き付けました。
この山頂で買ってきたパンでも食べようかなと思っていましたが、ふと気が変わって下山します。
途中の地面には鳥たちに啄まられたのかナナカマドの実が落ちています。
姿は見えませんでしたが、素敵な囀りがずっと聞こえていました。
見上げればまだ枝にもたくさん生っています。
無理とは分かっていても、つい習慣で攻略ライン(バイクで走った場合の)を考えながら降ります。
もしかしてe-MTBなら許される?
もちろん土日や人が多い季節ではそれでも御法度でしょうが。
それにしても期待を裏切らない、いやそれ以上に素晴らしい山であり森でした。
散々迷ったけれど、来てみて本当に良かったなあ🎵
車に戻り、瀞川氷ノ山林道を初めて四輪で走ります。
鵜縄に向かって分岐を降りたので、それほどダート区間は走りませんでしたが、親水公園まで走るのも面白いかも。
そこから1時間も走れば日本海の香住港。
これが但馬良いところで、日本中見渡してもこんなロケーションはそうそう無いでしょう。
前回訪れた時は日曜日だったのでこの店は満席でしたが、今回はすぐに入れました。
猛者エビ(山陰地方の名産品ですが、空気に触れるとすぐに変色してしまうので地元でしか食べられない)の陶板焼きという新メニューにするかとても悩みましたが、やっぱりここは刺身定食。
刺身定食と言いながら、ハマチのあら炊きの存在感が光ります。
食後は浜辺でコーヒータイム。
車なのでいろんな道具を持ってこられます。
JET BOILで湯を沸かし、豆を携帯用ミルで挽いて、HARIOの真空二重マグコーヒーメーカー Zebrangというものを買ってから初めて使ってみましたがこれは美味しい♪
豆は深煎りの粗挽きが合うかな。
本当は午後からもう一ヶ所、以前に探索しながらも途中で断念した古道を、もう一度歩いて検証したかったのですが、この時点ですっかりと頭から消えました。
オンショアの風を受けながら、しばしウトウトすれば至福の時です。
さて、これで何かスイーツがあればもう思い残すことは無いという状態で、閃いたのは夜久野にある牧場直営ジェラートの製造直売『あいす工房らいらっく』。
ここの製品は家の近くのスーパーでもカップで売られていますが、やはりこの直営店で食べるそれは一味違います。
とてもフレッシュさに満ち溢れていて、後味がとても爽やか。
真夏にアイスを食べたらかえって喉が渇くことがありますが、ここのジェラートにそれは全く当てはまりません。
今日はピスタチオとみるくの香りのダブルカップ。
本当はナッツがたくさん入ったフレーバー(名前は忘れた)を食べたかったけれど、この日は並んでいませんでした。
でも心から満足した一日、良き休日でした。