苦楽園オフロード雑記帳

兵庫・京都・鳥取・岡山の自然と林道をSHERCO TY125、 TRRS XTRACKで楽しんでいます。乗れない時などはスノーシュー、クロカンスキー、たまに料理ネタも入ります。

Happy go Lucky!

遭難・行方不明

苦楽園4号

はじめに。

今回のこの事件を記事にするのは大変悩みました。

しかしご家族からご本人のSNSを通じて知らされた今、発見の手がかりと事故の再発防止の啓発の意味であえて書きます。


10月末のある日の夕方、バイク仲間のMさんから電話があり『Tさんが行方不明になっているらしいのですが、一度〇〇警察と連絡を取ってくれませんか』との内容でした。

その3日前の土曜日にTさんのフェイスブックに投稿があり、それにコメントするとすぐにリプライがあったのできっと何かの間違いだろうと思っていたのですが、実際に電話をして聞いてみるとたしかにTさんのことで、すでに連日捜査をしているとのこと。

そしてとある林道の入り口で車は見つかっているものの、バイクも本人も行方が全く分からないということでした。

(いつもTさんはバイクを車に載せて、現地のすぐ近くまで行くのが習慣です)

その車が見つかった場所というのは、Tさんが大好きな兵庫県北部のS山の麓でもあるので、『それならば間違いなくS山に向かっているはずなので、その辺りを徹底捜索してください』と警察の方に提言しました。

翌日、仕事を早めに切り上げて僕も昼から現地に向かおうとしていましたが、連絡を取ると読み通りその山の反対側の麓で、バイクだけ作業道の途中にスタンドをかけた状態で見つかったとのことでした。

それを聞き、危惧していた深刻な転倒や滑落ではなく、その周囲で本人はすぐに見つかるだろうと思い待機していたのですが、結局その日の夕方までは見つけることはできなかったのです。

これはやはり現地の詳しい状況やTさんの行動パターンを知るものとして捜索に加わらなければならないと思い、平日でしたが他の仲間と共に次の日の朝にその場に向かいました。

それは行方不明となってから5日目のこと、バイク発見という大きな手掛かりもできたために人員を増やし、警察官10数名と地元山岳救助隊20名あまり。

そしてさらに警察犬と、午後からはヘリも飛ばすとても大掛かりなものでした。



数班に分かれて登山道、林道/作業道、迷いそうな尾根や斜面を徹底捜索し、そんな非の打ちどころもない体制でありながら、全くの手掛かりも無くただ時間だけが過ぎ、残念ながら夕方で捜索は終了となり、この日をもって打ち切りとなってしまいました。

(これはごく一般的な期間、もしくはそれを上回るものであり、その判断を非難するものではありません)


遭難行方不明の原因として考えられるのは、途中でガス欠かマシントラブルで動かなくなり、バイクを置いて歩いて車に戻る途中で道迷いをしてしまったか?

あるいはその途中で疲労や体調を崩すなどの理由で滑落して谷などに落ちたか?

当日は午後から雨が降り出し、日が暮れるのも早まっていた悪条件です。

そして考え得る最悪のケースは、熊と遭遇して襲われたか・・・

以前にもこのブログで書きましたが、当該地域において僕自身この10年で4回熊と遭遇したことがあります。

ただしいずれもバイクに乗って走っていた状態であったので、向こうが勝手に逃げてくれていました。

ご存知のように今年になって全国的に目撃例や被害は増えても、命に関わるような事例はこの地域ではありませんでした。


Tさんの年齢は60代で若い頃からバイクに乗っていて、しかもトライアルのライセンスを持ち、その競技会にも出ているベテランライダーです。

そのバイクを操縦する技量は僕などを遥かに超えて確かなものです。

彼は毎週のように地元のトライアル場で練習を重ねていましたが、僕らの間では『山走り』と呼ばれる道なき道を走ることも大好きでした。

その趣味は僕と共通し、ブログを通じて10年ほど前から知り合い、お互いの自宅は離れていても一緒に走ることが年に数回ありました。

ただその技量の高さゆえに、かなり難易度の高いルートにソロで行くことも多く、あまり僕からは口には出しませんでしたが心の片隅では危惧していました。


山での遭難事故例を調べると、かなりの怪我を負った状態でも長い日数を経てから発見されるケースもありますが、通常は72時間が事故発生からの生存可能時間とされています。


警察、行政の捜索が終わっても、トライアル上級者の仲間を募ってプライベートな再捜索も考えましたが、ご家族と警察の意向によって実行することは叶いませんでした。


僕自身、日頃から同じようなスタイルで自然とバイクを楽しんでいるので、それなりの覚悟を持ってきました。

でも逆にTさんほどのバイクテクニックが無かったために、慎重にも慎重を重ねて今までなんとか無事に過ごしてきたと言えるかもしれません。。

(一度だけ崖落ちでバイクの引き上げに友人たちに協力を仰ぎ迷惑をかけました)


これまで自分自身に課してきたことは・・

◼︎100%の自信がなければその先に進まない(特に下りでは慎重に)

◼︎最低でも日没の1時間前には山から出る

◼︎途中バイクが動かなくなった場合、そこから歩いて脱出できるイメージと体力を維持する

◼︎地図アプリ(ジオグラフィカ、スーパー地形など)を用いて、自分の現在位置と走ってきた軌跡を明確にする

◼︎モバイルバッテリーは必携

◼︎パンク修理はもちろん、軽微なマシントラブルに対応できる知識技術と工具持参

◼︎怪我や病気の応急処置の準備(薬や救急用具)

◼︎十分な水分と非常用の食料


そしてやはり最も大切なのは、山に深く入るのならば単独行動はしないということでしょう。

僕はトレーニングを兼ねて低山でのトレッキングにもよく行っていますが、ほんの少しの油断で道迷いをしたこともあり、そんな時は誰でもパニックになってしまいがちです。

そしてパニックになると、通常では考えられないような行動をとってしまうこともあります。

最近ではiPhoneでSOSが発信できたりするのでそれを使ったり、登山者用のココヘリという救助システムなどをあらかじめ登録しておくのも良いでしょう。

今回はスマホの電波は全く届かないエリアでしたが、GPSを利用したそうしたものならば役に立ちます。


さてあらためて整理をすると、車を止めた A地点とバイクが見つかった B地点の間には標高約900mの山がありますが、それぞれの位置からは(中腹なので)標高差300mほどで山頂となり、また両地点を結ぶ距離は3〜4kmくらいです。

またどちらも舗装林道に近く、もしこれが単なるトレッキングだったとすれば極めて容易でビギナーでも可能なルートです。

歩きにくいオフロードブーツを履いていればそう遠く離れることは考えにくく、その二つの地点を結ぶどこかにいるはずなのですが・・

あるいは我慢をして2時間ほどかけて歩けば、舗装路と広い林道で里に降りられて救助も求められたはずです。


今回感じたことは、仕事などではなくプライベートな遊びの範囲で起こってしまったにもかかわらず、警察や行政そして地元の方々が懸命に捜索してくれたことに実際に触れ、友人として感謝の念に堪えません。

これまでも友人、知人がレースや交通事故で命を落とすということはありましたが、このようなケースで行方が分からなくなるというのは、いまだに信じられない気持ちでいっぱいです。

ちなみに彼が自死を選んだのではないかということは、さまざまな理由から全く考えられません。


いつかどこかにひょっこりと現れて、どんな姿かたちであれご家族のもとに帰ってくれたらと心から祈るばかりです。


追記

なお、最後に消息を絶った場所については、二次遭難防止などの観点から詳細を控えさせていただきます。

またコメント欄は閉じさせていただきます。



画像の左端がTさんです


何か情報をお持ちの方は兵庫県警美方暑 0796-82-0110 までお願いします。

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