お夏の墓、そして事件は起きた!? 9/11 因幡・美作
一旦秋風が吹き始めて心地良くなってきた山も、このところまた気温も湿度も高く、おまけに予報がコロコロ変わってしまいます。
ソロならばまだそれでも構いませんが、グループで走ることを計画していると毎日が一喜一憂してしまいます。
まあこの日は何とか良い方向に予報が変わりひと安心です。
昼からは青空も増える方向なので、もしかすればベストタイミングかもしれません。
ただこのところ雨が多かったので、路面のコンディションが少し心配です。
今日のルートの始めから2/3ほどは、以前から参考にしている方の動画からの情報を、えでーさんに頼んで割り出してもらいました。
なので新規探索ではなく、いわばパクリ探索といったところ。
鳥取東部からスタートして、岡山の北東部にかけての越境ルートです。
走り出しのこの辺りは、比較的新しい作業道群のようで、地図で確認するとかなり複雑。
何も知らずに入ると遭難してしまいそうです。
分岐もたくさんありますが、その度にスマホに入れた情報で確認の繰り返し。
『ダイノナル』ですと?
山の中の地名は本当に首を傾げるものが多いですが、これは『大の平』かな?
鳥取側はまさに爽やかフラット!
この道のように今日は平穏な1日になるのでしょうか?
越境ポイントは作業道が繋がってはおらず、林に中を10mほど横切ることになります。
意外とこういったことも少なくはないのですが、事前のリサーチが十分でないと見つけるのはまず困難です。
今回は僕が提案したルートを、林道アナライザー・えでーさんが見事に掘り起こしてくれました。
このグループ、他のメンバーそれぞれの役割分担がとてもバランス良く取れていると自負しています。
僕自身はあとどれだけ走り続けられるか分かりませんが、もう何時フェードアウトしてもいいかなぁ・・な〜んて。
黒岩高原にも繋がる道は草が鬱蒼としてきましたが、こちらも特に問題なし。
ススキの穂がかなり伸びてきて、秋の訪れを感じさせます。
この日は中秋の名月の翌日でもありました。
舗装路に出てこのルートを走り終えると、いくつもの滝の案内が目に付いたので、そのうちのひとつ布滝(のんたき)に行ってみると、これが何とも素晴らしい滝でした!
その滝壺の下流も良き感じの苔むす空間。
県道を北上すると、ほぼ行き止まりにあるのが『お夏の墓』。
〜諸説あるが、江戸時代中期、深山渓谷にある一つの淵に木地師の娘が入水してこの世を去った。
伝聞によると娘の名はおなつといい、とても美しく可愛かったそうで、その美しさは当時の津山藩主松平康致の耳にも入っていたとのことである。
娘おなつは年ごろになると木樵の若者と恋仲になって幸せの絶頂にあったが、ある日その若者が他所に行ってしまい、いくら待っても帰ってこない。
おなつは悲しみのあまり、近くの淵に身を投げて自殺してしまった。
(別の説では藩主からお城に上がるように求められ、それを拒んだとも)
娘が身を投げた淵を人々はおなつ淵とよぶようになり、この淵では夜になるとときどき女のすすり泣く声が聞こえてくることがあるといわれている。
おなつの墓は鳥取県境に程近い嶮所谷に現存しているが、当時の娘の墓としては墓石の上にお地蔵様を置くという立派なもので、お地蔵様の首は首を抱いて寝ると、おなつのような美しい娘が生まれるとか、美しい嫁が来るという人のうわさを信じて誰か持ち去ったものらしく今は無くなっている。
なぜか岡山の北部にはこのような悲話が多く残っているように思えます。
現代のとてものどかで穏やかな土地柄からは想像ができ難いのですが。
その奥から、感覚的には北上するようですが、実際は南西に向かって進みます。
この地方の特徴である熊笹が多くなってきますが、情報によると地元オフローダーがかなり頑張ってくれていて道を整備してくれたとのこと。
相当山深いところでもあり、今は造林などにも入った形跡はありません。
休憩をしてふと見ると、木の幹のあちらこちらに熊の爪痕が残っています。
次第にアトラクションが次々と現れてきて「楽しさ」は増してきます。
オフロードを走り始めた頃はフラット専門で、まさか自分がそんな感覚になろうとは・・
まあ今でも基本的にはモト・トレッカーとでも呼ぶべきか、自然を楽しみながらトコトコ走るのは基本的スタイルで変わりませんよ♫
この日、果敢にもWRで2度目の参加のモンちゃんもこの辺りまでは快調でした・・
どこがどうと表現はできませんが、いつも走っている但馬や、前回グループで行った丹後ともまた違うこの雰囲気。
だからこそプチ遠征で行動範囲を広げるのは、またそれなりの楽しさに溢れています。
この日予想されていた前半のアトラクションのひとつはこの沢渡り。
レース経験豊富な「ミスター下見ゼロ」の煮過隊長はあっという間に渡り、RYOTAくんがそれに続きましたが、他の隊員たちは慎重に渡ります。
カヤッカーまこっちゃんは下流側をチョイス、これが後に続くメンバーの指標になりました。
ふと足元を見れば沢カニが!
唐揚げにしたら美味しそう♪
川底の石が動きやすいので、やや緊張が走ります。
Kちゃんは「キャ〜!」と叫びながらも無事クリア。
モンちゃんも無難に通過した!と思いきや、渡り切ったところでタチゴケ。
その後もいろいろとありまして・・
この区間最後のアトラクションはこのヌタヌタ登り。
左右に雨裂が深く、どのラインをチョイスするかで大きく変わります。
モンちゃんが選んだラインは最悪だったようで、リアタイヤはドーナツ状態になり大苦戦。
そして辿り着いたのは『五輪原』という地名の、広い高原のような、ちょっと不思議なエリア。
実はここは集落からはかなり離れた山頂の耕作地で、以前は大根などを栽培していたようです。
この辺りはこうした標高の高いところに開墾された畑が各所にありますが、その多くは耕作放棄地として残されています。
これも農業従事者の高齢化と過疎化によるものなのでしょうか。
そんな残念な事情を想像できてしまっても、こういった広々とした風景は大好きなので、他の皆んなが昼飯の間に、独り場所を変えながら映えるところを探します。
やっぱりススキ野原が好きかなあ🎵
銀色の穂が西陽に輝き、風になびく風景が、すぐそこまでやって来ています。
ここから大きく移動するその直前、ショートカットのルートを探っていた時にその事件は発生しました!
なんとバイクを停めたその下の、マンホールの中にスズメバチの巣があったらしく、滅多に来ない人間にテリトリーを侵されて興奮したハチが湧き出し、モンちゃんが右手小指を刺されてしまったのです。
僕は常にポイズンリムーバーとステロイド軟膏を持っているのですぐに処置をしましたが、モンちゃんは激痛に苦悶していました。
なんとかバイクを運転できるまで様子を見て、ゆっくりと一緒にトランポを停めた場所まで戻りましたが、皮肉なことに唯一自走で来たモンちゃんは、そこから何度も休憩をしながら2時間近くかけて自宅へと無事に辿り着いたとのこと。
その後痛みは一晩でほぼ引いたそうなのでまずはひと安心。
しかし今後のことも考えると主治医と相談して、アナフィラキシーショックに備えてアドレナリン自己注射(エピペン)も持ち歩こうかと考えています。
誰もがそうではありませんが、2度目があると命にかかわりますからね。
(刺された経験がある方は抗体検査をしておくと判明するそうです)
さて、この日の残り1/3は、3年越し3度目のチャレンジとなるヒルクライム。
ハチに刺されたモンちゃんと、手首に持病の痛みを持つまこっちゃんはここで離脱となり、地元のトライアルライダーYさんが代わって合流しました。
前日の雨による路面の悪化で心配された登りの急なつづら折りは、さほど苦労せずに全員クリアして稜線に出ます。
この時点ではこの澄んだ青空が広がり、願ってもいない最高のコンディションでした!
登り始める前は二の足を踏んでいたKちゃんも、登ってしまうばテンションは⤴︎⤴︎
いつ見てもここはまさに絶景ルートです♬
最近有名な同じ鳥取にある通称『ベタ踏み坂』と同じく、視覚効果で勾配がキツく思えますが、ここは実際に走るとひたすらロー全開で難なく走れます。
RYOTAくんと撮った画像をいつも交換しているのですが、このところとても良い働きをしてくれているのですごくありがたい!
Kちゃんも直前に痛めた足首のことも忘れて激走!
やっぱりこのヒト、根っから山が好きなんですね。
なかなか来るタイミングを選ぶには難しい場所なのですが、この日を選んでヨカッタ〜
と思いきや最後の難関フィニッシュ直前で、本当に突然濃いガスに覆われてしまいましたぁ・・⤵︎⤵︎
何とも複雑な気分が表情に・・
常連でトライアルライダーのYさんは当然イッパツでクリーンし、煮過大隊長もそれに続きましたが、僕とえでーさんが3回チャレンジした挙句、何とかヘルプで引っ張り上げてもらって成功(と言えるのか?)したものの、せっかくの大パノラマはな〜んにも見られず終い。
これは山の神様が『もっと上達してもう一度出直して来い』とのお告げだったのでしょう。
麓に降りて見上げると、まさにテッペンだけ雲がかかったいました💧
ともあれ献身的なRYOTAくんとえでーさん、そしてYさんのヘルプには大感謝です、ありがとうございました!
そんなこんなで良いことも残念なことも盛り沢山だったこの1日。
さて次回はどんなドラマが待っているのでしょう♪