苦楽園オフロード雑記帳

兵庫・京都・鳥取・岡山の自然と林道をSHERCO TY125、 TRRS XTRACKで楽しんでいます。乗れない時などはスノーシュー、クロカンスキー、たまに料理ネタも入ります。

Happy go Lucky!

涙雨にけむる霧ヶ滝トレッキング 7/10 但馬

本当に悲しくやるせない週末になってしまいました。
でもじっと家に閉じこもっているとどんどん気が滅入ってしまいそうなので、以前から一度行ってみたかった滝を見るために車を走らせました。


ここは普段よく林道を走る途中に通過する、新温泉町上山高原の一部です。
兵庫県では一番西北の端にある地域で、近くには夢千夜日記で有名な湯村温泉があります。
2、3年前に駐車場も新しく整備され、広く綺麗になりました。


目的の霧ヶ滝は日本の滝百選からは漏れていますが、「但馬三名瀑(猿尾滝、天滝)」のひとつです。
美しさと秘境感に於いては引けを取らないと聞いていました。


数年前に訪れた、全国的にも珍しい洞窟内にある『シワガラの滝』もこのすぐ近くで、滝好きにとってはたまらないエリアなのです。


ハイカーさんのブログなどで見ると往復で3時間ほどとのこと。
バイクのオフロードブーツでは危険だし無理があります。


そもそもシワガラと並んでこの滝に通じる別の登山道では過去に複数の死亡事故が発生しており、しっかりとした装備は欠かせません。


入り口付近は水道の取水設備?があり、整った鉄製の歩道が続いています。

昨晩からの雨が少しまだ残っていましたが、沢の水の濁りはほとんどありません。

鉄の歩道が終わるところで、こんな奇岩がありました。
中心のところがモアイ像の顔と似ていませんか?


渓谷はとても荒々しい表情をしています。
度重なる豪雨で巨岩や巨木が重なり合い、一種異様とも言える雰囲気です。


道もすぐに険しくなってきました。
危険な区間にはロープや鎖もありますが、アンカーがグラグラで頼りない。


次々に現れてくる巨木はまるで太古の森のようです。
どれも深い雪の重みに耐えてきたのでしょう。


もはや畏敬の念を感じずにはおられません。
家から車で2時間半、駐車場から歩いて30分も経たないところに、こんな秘境があっただなんて。


ルートは次第に厳しさを増し、目印も少なく、雨に濡れているので踏み跡も定かではありません。
これは山に慣れていなければ迷ってもなんら不思議ではなく、さらに石の上は恐ろしく滑ります。


そして何度も沢を渡りながら上流へと向かうのですが・・


木製の流れ橋がいくつもあり、これがまた滑る!滑る!


広いスペースに出ましたが、以前は鬱蒼としていたのが、近年は鹿が食い荒らして雰囲気が変わってしまったそうです。


そこからさらに道を探しながら・・




古い鉄製の橋は大雨の時に壊されてしまったのでしょう。
脇の流れ橋は一応ロープがあるので安心ですが、それでも滑って怖い!


いったい何年かかかってこうなったのか?
ツルが枝に絡み付く様子に度肝を抜かされてしまいます。


これはカツラかな?



鉄製の橋はいくつもありますが、最初以外はどれも使えません。
しかし、これほどの山奥にどうやってこんな鉄の橋の資材を運び込んだのか?






木の橋の幅はこんなものですが、まだここは高さがないのでさほどの恐怖感はありません。


かつては岩魚やアマゴの宝庫だったらしいですが、今はもうその姿は無いのかも?


また開けた場所に出ました。
ここからさらにキツい登りになるようです。


ちょうど中間地点ですね。


小雨は降り続いていましたが、高い樹々に覆われているので、ほとんど身体は濡れませんが、湿度は高く体力は奪われがち。


それにしても、なんと美しい緑でしょう!






この杉は熱田の廃村に行く途中にもありましたね。
この辺りが原種の育った地域だったのか。



そしてここから先がホントに険しくて、石はツルツル、ルートもあやふや・・


左側にチェーンがあるのが分かりますか?
これもルートの一部なんです。


ここはルートではありませんが・・


ここなどは左側に普通の道があります、がしかし


ここ、真ん中の倒木の根元を跨いで先に進むなんて、パッと見ではまるで分からないでしょう?


そしてやっと!

と思いきや、ここの石がみんなグラグラでツルツル。
あと100mということが分かってなければ、もう帰ろうかと思いましたよ。


そして・・



ついに到達です!!


落差は約70m、水量はさほど多くはないので、名前の由来の通り途中で霧散してしまうために滝壺はありません。
でも本当に、本当に神秘的でその美しさに引き込まれてしまいそうでした。


しばらく角度を変えながら写真を撮っていると、一瞬それまでの鉛色の空が嘘のように変わりました!

単にラッキーだったのでしょうか?
それとも何かの暗示だったのか?


いずれにしてもこれを糧として、ささやかでも僕ができることをこれからも続けていきます。


この国は本当に美しい自然がまだたくさんあります。
そしてそれだけではなく、全てにおいて『美しい国へ』なれるよう心から願っています。




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